京成バス株式会社 様

「京成バス株式会社」のイメージ画像

「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」を利用して、遠隔地からバス停留所の状況をカメラで確認し、バスを待つお客様に的確な運行情報をお知らせ。

概要

千葉県市川市に本社を置く京成バス株式会社は、東京都内の足立区、葛飾区、江戸川区から千葉県北西部にかけての京成、北総、JR東日本沿線を中心に、路線バスや高速バスを運行しています。京成バスでは、バスの到着予定時刻をお客様に知らせるために、バスロケーションシステム(注)を導入されていますが、渋滞などで事前に案内した時刻にバスが到着しないなど、お客様からの苦情が寄せられていました。
その対策として今回導入されたのは、TOAの「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」。稲毛駅のバス停留所周辺の状況をリアルタイムに確認し、お客様への正しい案内放送や臨時便の手配などにより、お客様のストレスを低減させ、利便性の向上、的確な運行管理に貢献しています。

(注)バスロケーションシステムとは
路線バスにはGPSが搭載されており、そのGPSを活用して運行しているすべてのバスの位置を常に把握するシステムのこと。このシステムを利用してバス停留所にあるLED掲示板や自動放送などで、バスを待つお客様に到着予定時刻を知らせている。

納入情報

納入先 京成バス株式会社 様
納入品 タウンレコーダー遠隔見守りサービス
屋外ドームカメラ一体型レコーダーG-R301-2(※以下、タウンレコーダー)
納入時期 2016年9月
採用背景 遠隔地にある営業所からバス停留所の様子をリアルタイムで確認し、バスを待つお客様に的確な案内放送することができるシステムを検討されていました。インフラ環境や市の条例による設置の制限もある中、すべての条件を満たすことのできるTOA「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」を採用していただきました。

課題と解決のポイント

課題

  • バスロケーションシステムの自動放送によるバスの到着予定時刻に変更が生じた場合、それを補完・訂正するために、バス停留所でバスを待つお客様に対してリアルタイムに正確なバスの到着予定、運行状況を知らせたい
  • 駅前のバス停留所に設置する防犯カメラは、法律で定められた道路占用物件の寸法規定をクリアするコンパクトなものにしたい
  • バス停留所の状況を映像で確認し、混雑状況に応じて臨時バスの配車指示を行いたい
  • 千葉市の防犯カメラの設置に関わる条例をクリアするため、市民のプライバシーにも配慮した運用を行う必要がある
  • 不測の事態が発生したときのために、より高精細な映像で記録を残しておきたい(録画の必要性)

解決のポイント

  • 「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」を利用して、遠隔地の営業所から、
    ①バス停留所に設置されたタウンレコーダーのライブ映像の確認
    ②タウンレコーダーに接続されたスピーカーを通じて案内放送
    が可能
  • タウンレコーダーはフルHD対応の高精細カメラ、カメラ映像を記録するレコーダー機能、音声用デジタルアンプ(3W、ローインピーダンス)が一体化になったコンパクトサイズで、道路占用物件の寸法規定をクリア
  • 営業所でタウンレコーダーの映像をリアルタイムに確認できるため、バス停留所の混雑状況を正確に把握した上で、状況に応じた臨時便などの配車指示が可能に
  • カメラ映像内の指定したところを表示できないようにするプライバシーマスク機能を使用して、プライバシーに配慮した運用を実施することで条例の要件をクリア
    また、タウンレコーダーとクラウドサーバー間の通信は専用閉域網のLTE回線(携帯電話用無線データ通信回線)を利用しているため、インターネット経由など外部からの不正侵入リスクも解消
  • タウンレコーダー内蔵のメディア(250GB SSD)にフルHDの高画質画像を記録。必要に応じて録画映像を、無線LANを使ってダウンロード可能

詳細

背景

バスロケーションシステムの自動放送の内容に変更が生じた場合の対応として、バス停留所でバスを待つお客様に対する正確な情報伝達手段を検討。

バスが発車する長沼営業所から稲毛駅までの間では慢性的な渋滞が発生しており、到着が遅れてしまうことがあります。バスロケーションシステムでお客様にバスの到着予定時刻をお知らせしていますが、バスに搭載されたGPSで停留所との間の距離を確認し、自動音声によって知らせるという方式のため、道路が渋滞していると予定していた時刻に到着せず、バスがまだ到着していないのに「まもなくバスが発車します」と放送することがあり、クレームにつながることもありました。
そこで、自動放送で案内していた到着予定時刻に変更が生じた場合の対応として、お客様に正確な情報をリアルタイムで伝えることができる手段を模索されていました。

課題

バスを待つお客様の状況を把握し、正確な到着時刻の連絡や配車指示を行いたい。
道路占用規定、地中配管、千葉市の防犯カメラ設置条例をクリアしたシステムを導入したい。

バスロケーションシステムの自動放送では、渋滞などにより到着予定時刻に変更が生じてしまうことがありますが、それを訂正できる手段がありませんでした。バス停留所の混雑状況を把握することもできないため、混雑状況に応じたバスの配車指示も行えないというのも課題でした。
そこで、バス停留所にカメラの導入を検討。しかし駅前における道路占用物件ではカメラの下から2.5m以上の高さを確保しなければならないため、サイズが大きいものは設置が不可能でした。また、稲毛駅はすべて地中配管で架空配線は認められないため、防犯カメラと監視場所を接続するケーブルを配線することも困難な状況でした。さらに千葉市には防犯カメラの扱いに関する条例があり、市民のプライバシーに十分配慮する必要もありました。

解決策

カメラ、レコーダー、デジタルアンプ、通信用LTEモジュール一体型で、通信用のネットワークインフラの配線が不要なタウンレコーダーをバス停留所に設置。
LTE回線経由で営業所からバス停留所のライブ映像を確認し、お客様への的確な音声放送や配車指示できるシステムを構築。

稲毛駅のバス停留所周辺に、タウンレコーダーを4台設置し、「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」を利用して、遠隔地の営業所からカメラ映像をリアルタイムで確認できるようになりました。バス停留所の混雑状況を正確に把握したうえで臨時便などの配車指示をすることができるほか、タウンレコーダーに接続されたスピーカーを通して適時、バスを待つお客様に対して案内放送を行うことも可能です。
タウンレコーダーはフルHDの高精細映像を記録するレコーダー機能や音声用デジタルアンプ(3W、ローインピーダンス)をひとつの筐体に一体化。駅前における道路占用物件の規定を満たしたコンパクトサイズを実現しています。また、タウンレコーダーにはLTE回線用の無線通信用モジュールが搭載されており、タウンレコーダーへの通信用インフラなどの配線工事は一切必要なく、タウンレコーダー本体とスピーカーの取付工事、及び音声ケーブル配線とAC100V電源工事だけで設置することができます。さらに、千葉市の防犯カメラに関する条例をクリアするために民間ビルの入口等にプライバシーマスク機能を利用。カメラ映像内の指定した部分にマスクをかけて表示しないようにすることで、プライバシーに配慮した運営を実施しています。
タウンレコーダーからのライブ映像配信や、営業所からタウンレコーダーに放送用音声を送信するためのクラウドサーバーとの通信回線には、内蔵のLTEモジュールを利用して携帯電話用無線データ通信回線のLTE回線を使用。LTE回線は専用閉域網を使っているため、インターネットを通して直接外部からタウンレコーダーに侵入される恐れもなく、セキュリティも万全です。

  • 稲毛駅前バス停留所の様子を映像で確認する、タウンレコーダーG-R301-2と、バスを待つお客様への案内放送を行うワイドホーンスピーカー。4ヵ所の乗り場に設置されている。
  • カメラ、レコーダー、デジタルアンプ一体型、LTE通信による省スペース設置で、駅前の道路占用物件の高さ規定もクリア。
    隣は、バスロケーションシステムのバス発車予定案内板と音声放送用のスピーカー。

  • 長沼営業所内にある、「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」専用サーバーにアクセスしているパソコン。上のパソコンのモニターで稲毛駅前バス停留所に設置されている4台のカメラ映像を確認し、下のパソコンでカメラを選択して遠隔放送が行える。
  • 運行管理者が稲毛駅前バス停留所のタウンレコーダーのライブ映像を確認して、バスを待つお客様に向けて正確なバスの位置や到着予定時刻などの案内放送を行う。

インタビュー記事

「主要ターミナルへも順次拡大し、多言語対応なども導入することで、さらにお客様の利便性の向上につなげていきたいですね。」

京成バス株式会社 業務部 車両課

佐久間 諒 様

「バスの到着時刻や運行情報が管理者の声で放送されるので、お客様の安心感につながり、クレームの削減に貢献しています。」

京成バス株式会社 長沼営業所 次長

内田 孝幸 様

「バスを待つお客様をリアルタイムに映像で確認して運行情報を連絡したり、配車指示ができるので、運用面でも業務がやりやすくなりました。」

京成バス株式会社 長沼営業所 運行係長

小高 利之 様

-「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」をどのように使用されていますか?

小高 氏

長沼営業所ではタウンレコーダーの映像を交代で常に確認し、バスロケーションシステムによる運行情報とあわせて、渋滞などによる遅延等が発生していたら、「バスは現在、●●を走行中です」、「バスはあと●分で到着予定です」といった案内放送をお客様に行っています。案内放送については、「車内事故防止キャンペーン」のような啓発キャンペーンの情報も流しています。

「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」は遠隔地の営業所にいながらにして稲毛駅の状況をリアルタイムで確認することができるので、確実性があっていいですね。以前は事故などのトラブルが発生すると現場まで出向いて状況を確認し、その後でお客様に情報をお伝えしていましたが、今では営業所で状況を確認し、稲毛駅のバス停に案内放送を流すことができるので、非常に効率的かつ効果的です。

また、稲毛駅の停留所からは、県営のスポーツセンターに行く学生の方が多く乗車されます。大会が行われる日には、朝5時〜6時台に多くの学生の方が利用されるので、通常便だけでは追いつきません。そういった場合、以前は乗務員からの無線で稲毛駅にいる学生数や状況などを聞いて、頭に映像を思い浮かべてから対応を行っていましたが、現在ではすぐにカメラ映像で確認して迅速に対応できるようになりました。

-タウンレコーダーの使用効果はいかがでしょうか?

内田 氏

「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」を導入した効果として一番大きいのは、実際の稲毛駅の状況をリアルタイムに確認し運行状況を案内することによって、お客様に安心感を与えられることだと思います。お客様がとくに時間を気にされるのは、朝晩の通勤・通学時間。音声放送に耳を傾けていらっしゃる様子ははっきりとカメラ映像で確認することができるので、私たちも安心です。導入してからはお客様からのクレームがかなりの割合で減少しました。

バスを待っているお客様の様子を確認することにより、先手を打って音声放送や臨時便の配車指示などの対応ができるのもいいですね。お客様の利便性向上はもちろん、停留所の状況に即した対応を行えるようになったことで、業務がやりやすくなりました。

-今後の展望について、どのようにお考えですか?

佐久間 氏

稲毛駅での「タウンレコーダー遠隔見守りサービス」の導入はテストケースとしての側面もあり、その後市川駅、松戸駅にも導入しました。今後は主要ターミナルにも順次拡大していこうと考えています。東京オリンピックに向けたインフラ充実の一環という意味合いもありますが、各営業所から「主要駅に導入してほしい」といった要望が多く寄せられています。

また、今のところ音声放送は日本語のみなのですが、多言語対応の検討も進めています。交通業界として多言語対応は非常に重要な課題。バス停の表記はもちろん、車内放送に関しても高速バス・路線バスの両方で英語対応をしています。これからは車内放送だけでなく、駅でバスを待っている外国人の方へも、リアルタイムな運行情報をお伝えしていきたいですね。そのために、運行管理者がパソコンで入力すると、日本語とともに英語の案内音声が合成されて放送できるシステムを考案中です。
こうした取り組みによってより多くのお客様の利便性を向上させ、快適な利用促進につなげていきたいと考えています。

京成バス株式会社の概要

京成電鉄よりバス事業を譲受して、2003年より営業を開始。東京都内の足立区・葛飾区・江戸川区から千葉県北西部にかけての京成・北総・JR東日本沿線を主な営業エリアとしており、埼玉県にも一部路線を持っています。とくに墨田区等のコミュニティバス、成田空港・東京ディズニーリゾート・幕張メッセ・羽田空港・東京駅から各地への路線は充実。路線バスに加え、成田空港発着路線をはじめとする高速バス路線も多数運行しています。

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