羽田空港 様
羽田空港で、情報を確実にスピーディーに伝達。
概要
年間6,000万人を超える利用者が訪れる、東京・空の玄関口「東京国際空港(羽田空港)」。航空需要の増加に伴う、発着便数の増大、航空路線網の拡充、航空機の大型化などにより、その機能の充実と大規模化が求められ、2004年12月1日にオープンした第2ターミナルビル。「絶対安全の確立」を前提としたお客様本位の「利便性」「快適性」「機能性」の向上をコンセプトに、出発と到着のお客様の動線を完全分離し、航空機へのスムーズな乗降やバリアフリーを徹底。「海」をモチーフにした建物は、開放感にあふれています。
快適な公共空間を目指し、これまで以上に求められる「音の品位」
最近の空港ターミナルビルでは、「機能」本意から「アメニティ(快適さ)」の追求が求められるようになり、「旅客や送迎者への快適かつ適切な情報の提供」や「旅客ターミナルビル内における全ての人々の安全確保」などが重要課題となっています。その一つのかたちとして、「サイレントエアポート」という考え方があります。
空港は音環境の整備について優れており、重要性が認識されているなかでの納入となりました。今回、ご採用いただいた案内放送設備は、当該放送エリアで必要とされる音量を騒音レベルに応じて確保するAVC装置を搭載しています。一般的に情報を明確に伝えるためには、騒音よりも10dB以上の音量が必要とされます。まず、騒音検出マイクによって放送を行おうとするエリアの騒音レベルを検出し、そのレベルを瞬時に判断して、増幅器への音声出力レベルをコントロールすることで、騒音が常に一定ではない場所でも、適正な音量の案内放送が行えるようになっています。
また、空港では出発や到着を告げるアナウンスが同時に入ってきますが、その優先順位をコントロールするのがアドレスセレクター(マトリクス)です。これは、BGMや音声ファイル、インターカムなどの随時入ってくる様々な入力信号と、それらの分配先である多数の放送エリア出力の入出力関係の優先順位を自動的に制御する、いわばシステムの中枢装置です。この機能をアドレスセレクターが担うことで、放送設備の安定性向上に寄与しています。
迷子の案内や、非常時の避難誘導など、状況に応じて即座に対応できる情報環境を整備
羽田空港では、TOAの自動放送と肉声放送を含めた案内放送設備と非常用放送設備が採用されています。自動放送とは、搭乗ゲートや到着ロビーに設置されたフライト情報の表示器に、出発や到着の情報が表示されると自動的に流される音声ファイルによるアナウンスのことです。
肉声放送とは、優先者搭乗や出発の最終案内のように、必要に応じてインターカムでアナウンスするものをいいます。第1、第2ターミナルの双方に関係する放送は、第1ターミナルビルの旅客サービスセンターに設置されたアナウンス卓より放送されるようになっており、迷子やお客様同士の待ち合わせの案内などにも利用されています。
一方、非常用放送とは、非常時の避難誘導を行うもので、自動火災報知設備の感知器および非常電話による通報をビル内にある防災センターにて判断し、一般のお客様やバックヤードにいるスタッフがパニックを起こすことのないように、必要最小限の放送を行います。非常用放送設備では、緊急事態である旨を館内全てのエリアに対して、個別及び一斉放送できるようになっています。