体験児童の満足度アンケートを集計
2011年度のTOA Music Workshopにおいて、全体験児童を対象に、選択式回答と感想自由記述からなる満足度アンケートを実施しました。
2011年度体験児童数=876名
有効回答数=756
【設問】
・音楽とダンスは、楽しかったですか?
・またやってみたいと思いますか?
・感想を、自由に書いてください。
選択式回答を集計したところ、「音楽とダンスは楽しかったですか?」の質問に対しては平均91%、「またやってみたいですか?」については平均84%と、ともに高い満足度であることが分かりました。
学年別に見ると、5年生が両設問ともに平均を下回っています。こうした傾向について現職教員は「5年生は思春期に差しかかる頃で、難しい学年。自由に表現することへの抵抗感があるのでは」と指摘、満足度が低いのは不自然ではなく、学年特有の傾向と思われます。
自由記述に「楽しい」等の表現を用いた児童は全体の6割以上、「びっくり」等の表現を用いた児童は3割以上。これらポジティブな印象の表現をいずれか一つでも用いた児童の割合は、約9割にのぼりました。 これは、「児童満足度 学年別」で、「楽しかった」と回答した児童が約9割であったことと傾向が類似しています。TMWの満足度は、選択式回答、自由記述の双方で、非常に高いといえます。
<抽出語一覧>
■「楽しい」に分類した語群
楽しい関連語:
楽しい、たのしい、ノリノリ
面白い関連語:
面白い、おもしろい
嬉しい関連語:
嬉しい、うれしい
■「驚きと感動」に分類した語群
すごい関連語:
すごい、ものすごい
びっくり関連語:
びっくり、ビックリ、ドキドキ、どきどき、ワクワク、わくわく
感動関連語:
感動
*『総計』はいずれかのポジティブ語を一度でも用いた児童の比率
次に、自由記述から「楽しい」「びっくり」の理由を分析しました。「楽しい」理由について「ダンス」をあげている児童は「音楽」を26ポイント上回りました。また、「びっくり」「すごい」等、驚きと感動に関する理由については、「音楽」が「ダンス」を24ポイント上回りました。オープニングのパフォーマンスと楽器演奏で児童の心をつかみ、ダンスを中心にプログラムを組み立てるTMWの手法は、効果的であると言えます。
<理由として抽出した単語一覧>
■音楽関連語
楽器、音楽、音、迫力、演奏、韓国、太鼓、叩く、聞く、リズム
ダンス関連語:
ダンス、踊る、ステップ、アビ*、踊り、マネ、鏡、マホ*、動き、おどる
*印の語は、ダンサーの個人名
TMWでは、体育館の舞台を使用せず、できるだけ児童に近い位置でパフォーマンスを行うようにしています。初めて間近で見る楽器奏者の卓越した演奏を、生で「鑑賞する」「感じる」ことで、その迫力と技術に驚き、演者に対する感動と尊敬が芽生えたことが伺えます。
音楽と比べてダンスは「自分の身体を使う」「やってみる」という意味で、より能動的に参加することになります。その結果、子どもたちは出演者ではなく自分自身に意識を向けることになり、自分自身の感覚や気持ちが評価となって感想に表れていると思われます。能動的にダンスに参加することにより、児童は「鑑賞」とは違う「楽しさ」を感じているようです。
TMWは、複数のプログラム工程から成り立っています。各工程に関連する単語の出現率を調べたところ、最終段階の「クライマックス」が最も多く、次いで「オープニング」のアーティストパフォーマンスに関する内容が多く出現していました。プログラム工程は、時間の経過に伴い、児童らが自然にダンスに参加できるよう工夫されています。こうした工夫が功を奏したのか、工程の進捗に比例して、データ数値が上昇する傾向が見られます。児童がオープニングのパフォーマンスに驚き、感動し、時間の経過とともに徐々にプログラムへの関心を高めていった様子が分かります。
「苦手」「恥ずかしい(はずかしい)」「嫌い」というネガティブな表現について、いずれか一つでも自由記述に書いた児童の割合は、全体の2.78%。うち、女子児童のほうが、より「恥ずかしさ」を感じる傾向がありました。
一方で、最終的に「恥ずかしいから楽しくない」と記載した児童はゼロで、自己表現に対する心理的抵抗感がTMWを体験する過程で解消されていったことが分かります。集団での体験による恥ずかしさの軽減に加え、オープニングパフォーマンスと照明演出による「非日常感」により、心理的な抵抗感が払拭されたと思われます。
「苦手」「恥ずかしい」「嫌い」を自由記述に書いた児童のうち約9割が、「楽しい」を同時に記述。「恥ずかしかったけど、楽しかった」意の回答を行いました。
2011年度の体験児童の自由記述のうち、特徴的な感想をご紹介します。