既設の学内LANを活用した緊急一斉放送システムで、大学利用者の安全・安心・快適な施設利用に貢献。
『地にのぞみ、知をまとう』という考え方を通して、半世紀以上に渡って埼玉の地において、5学部(教養学部・教育学部・経済学部・理学部・工学部)、4大学院研究科(文化科学・教育学・経済科学・理工学)の教育研究活動を続けてこられた埼玉大学。都心にも近いといった恵まれたアクセスと緑の多い落ち着いた環境の中で、知性豊かでグローバルな人材を社会に輩出されています。
TOAでは、災害や事件などの発生時に、学内にいる学生や教職員、地域住民の方への報知や避難誘導などを行う学内ネットワークを活用した大久保キャンパス全域の一斉放送システムを通して、安全・安心な施設利用に貢献しています。
納入先
埼玉大学 様
納入品
IP告知放送システム
天井埋込型スピーカー
納入時期
2011年8月
採用背景
他大学の大学構内での凶悪事件の発生、地震や台風などの自然災害発生の際に、危機管理・安全管理の一環として、大学構内一斉に緊急放送で報知する、避難誘導を行うといった検討が始まりました。既設のLANを活用し導入コストをかけずにキャンパス内一斉放送の環境が構築できる点、今後の施設増築の際に放送エリアの追加・放送箇所の設定変更が容易であるといった拡張性の高い点が評価され、導入に至りました。
埼玉大学では、学生や教職員、地域住民を含めると、毎日約1万人が施設を利用しています。埼玉大学にはキャンパス全域をカバーする一斉放送システムはなく、消防法で定められている講義棟ごとの非常業務放送以外には、屋上に設置した10 基の屋外スピーカーによる放送しかありませんでした。しかしながら、広大なキャンパスをスピーカー10基ではカバーしきれず、避難訓練の際にも「何を放送しているのか聞こえない」といった状況でした。
一斉放送システムが検討され始めたのは、他大学キャンパスでの事件報道がきっかけで、犯罪が発生した際に危機管理・安全管理の目的からキャンパス内にいる学生や教職員、地域住民すべてに一斉放送して事件発生を報せるといったことが必要ではないかという議論になりました。その後に発生した東日本大震災後には、自然災害発生時にも一斉放送できるシステムが必要ということで、本格的に検討を始められました。
国立大学のキャンパスは広大な土地にさまざまな施設が多く建てられています。新しいものから建てられてから年月が経っているものまで、施設の種類や規模、大きさもさまざまです。建物によってスピーカーもさまざまなメーカーのものが採用されています。また、今後新たな施設建設予定もあるため、導入後も拡張しやすいシステムが求められました。キャンパス全域をカバーする一斉放送システムを構築するには、このような複雑な環境をクリアする必要がありました。
さらに、導入に関しては想定した使用用途が事件や災害発生時の緊急通報ということで、非常時に混乱して放送できなくなるようなことがないように、誰もが簡単に操作しやすいシステムを希望されました。また、緊急の場合は各棟の放送よりも優先して放送するといった優先度の設定、停電時でも一定期間は一斉放送ができるといった機能も要望として上がってきました。
今回納入した一斉放送システムは埼玉大学内の既設のネットワークを活用し、本部管理棟、守衛室、5学部の学部棟、学生会館や食堂、屋外をカバーしてキャンパス内の緊急通報を行うシステムです。本部の管理棟を主局とし、副局の守衛室とともに、学内ネットワークを使って合計6カ所の学部棟と、合計18カ所の学生共用部に一斉放送が可能です。グラウンドには照明灯に同報無線用スピーカーを設置し、無線LANによる無線通信で音源を飛ばして放送することができます。一斉放送のほかにも主局と副局は、各学部棟や学生共用部別に個別放送を実施することができます。各学部棟に関しては、学部内の一斉放送が可能です。
放送の操作に関しては、放送先の選択スイッチとマイク放送スイッチの操作のみで一斉放送が行えます。マイク設置場所には放送モニター用の受信端末が配置されており、現在の放送状態を確認しながら放送することができます。本部棟、守衛室、各学部の事務室に設置された放送用マイクを使った放送には優先順位を持たせることができ、重要度の高い放送を割り込みすることが可能です。さらに、地震や台風などの災害発生時に停電になった時のために、バックアップ電源も導入、連続使用で7分間放送できる仕様になっています。
本部管理棟のワゴン
本部管理棟のワゴンアンプと放送モニター用端末、放送用マイク、操作用のスイッチャー。放送するエリアをスイッチャーで選択し学内への全体放送や各学部への個別放送が可能。また、放送している内容をモニタリングしながら放送できる。
各学部棟のワゴン
各学部棟に設置されているワゴンアンプと放送モニター用端末と放送用のマイクロホン。本部管理棟、守衛室以外はこの設備が設置され、学内全体放送を聞くことができるほか、放送に関しては学部内のみに行える。
守衛室屋外壁面に設置されているスピーカー。おもに大学構内のバス停でバスを待つ市民にも緊急放送が聞こえるように配慮されている。
キャンパスの本部管理棟や各学部棟などに設置されている壁掛型スピーカーと天井埋込型スピーカー。
グラウンドに設置されている、照明に設置されている同報無線用スピーカー。広大なグランウドをカバーしている。ネットワークが敷設されていないエリアのため、無線LANにより音源を飛ばして放送。
(写真上)広範囲に放送できる同報無線用スピーカー。
(写真下)IP告知受信端末やアンプ、ネットワーク機器などを収納している機器収納盤。
「地域に開かれた大学として、大学施設利用者すべてが安全・安心・快適に過ごせる環境整備ができました」
埼玉大学 財務部 施設管理課 電気係長
櫻井 明 氏
国立大学の場合はキャンパスが広大ということもあり、全学一斉で放送するシステムの導入には高いハードルがありました。本学でも屋外スピーカー10基でキャンパス屋外への放送は行っていましたが、あまり機能していませんでした。また、学部棟は新築や増築を繰り返して作られていますので、施設・設備が老朽化しているところもあり、一斉に工事するということが設備的にも予算的にも難しかったのです。
今回の導入にあたっては、既設の学内LANを使うということが一番大きかったですね。普通にケーブルを配線していくと予算がいくらあっても足りません。しかし、どこの大学でも学内LANはあるので、それを有効活用して、一斉放送システムを構築できたことは費用面でも設備面でも大きかったと思います。学内ネットワークにスピーカーをつなげば放送できるので、導入当初は必要最小限のものにしておいて、予算と要望に応じて徐々にスピーカーを増やすことができます。導入コストが安くて抑えられて助かりました。
避難訓練の学内一斉放送も本部管理棟から実施される。日本語と英語の2カ国語で災害発生を放送する。
地域に開かれた大学として、一斉放送により本学の施設利用者すべてに対して安全・安心な施設利用ときめ細かな情報提供を行っていきたいと考えています。大学キャンパスは広大な上、多くの建物が建てられています。災害や事件発生時に、利用者に対して確実に一斉放送で情報を伝達し、的確に避難誘導をしていきたいですね。そういう意味では、J-ALERTなどの導入も今後検討していくことになると思います。
また、今後新しく建物を建てるといった計画もありますし、改修などでも新規のスピーカーが必要になってきます。そういう意味ではスピーカーを順次拡充して、きめ細かく放送ができるように環境を整備したいと考えています。
埼玉県さいたま市桜区に本部を置く国立大学で、旧制浦和高等学校、埼玉師範学校、埼玉青年師範学校の3校を統合して、1949年(昭和24年)に新制国立大学として設立された。
現在では5学部(教養学部・教育学部・経済学部・理学部・工学部)、4大学院研究科(文化科学・教育学・経済科学・理工学)を有する総合大学で、530名の留学生を含む約9,000名の学生・院生、470名の教員、220名の職員が大久保キャンパスに集まる。埼玉の地に根を下ろしながら、高度な人材育成と学術研究のナショナルセンターになることに全力で取り組んでいる。
天井埋込型スピーカー CM-2330生産完了品
天井埋込型スピーカー CM-2330生産完了品
木製壁掛型スピーカー BS-32Z生産完了品
木製壁掛型スピーカー BS-32Z生産完了品