株式会社クボタ 筑波工場 様
BCP対応における工場再構築にあたり、老朽化した非常用放送設備をリニューアル。
災害時などに工場全体へ非常放送が一斉に行えるほか、気象庁の各種データとの連携した地震や落雷時の自動放送で従業員への安全配慮や工場の安定稼働をサポート。
概要
農業用機器、産業用エンジンで国内トップシェアを誇り、世界中で活躍する株式会社クボタは、農業ソリューション事業と水環境ソリューション事業の2つの柱を通じて、日本だけでなく世界中の人々の「水」「食」「環境」に関わる問題を解決し、豊かな生活を実現するために貢献しています。そのクボタの基幹工場として、創業1975年(昭和50年)からおもに中型クラスのトラクタ、産業用エンジンの生産を担っているのが筑波工場です。
TOAでは、クボタ筑波工場の非常用放送設備のリニューアルを担当しました。今後の筑波工場の拡張などの計画も見据えて、筑波工場全エリアへの非常放送が行える環境と、気象庁の各種データと連携したBCP対策、さらに従業員のモチベーションやコミュニケーションの活性化につながる非常用放送設備への更新をお手伝いしました。
納入情報
納入品 |
ラック型非常用放送設備 FS-2500シリーズ アナウンスクリエーター ネットワークCM・BGMプレーヤー NA-3000 パッケージ音源_フィーリングプレイリスト Z-BGM-A03 試聴はこちら |
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納入時期 | 2023年3月 |
背景 | BCP対応における工場再構築を行うにあたり、非常用放送設備についても現状の課題を把握するとともに新施設への対応を含めた更新を検討。 |
要望・お役立ちのポイント
要望
- 1975年の筑波工場創業以来、何度か工場の増築が行われた際に、非常用放送設備を別途後付け対応としていたため、既存の放送設備とシステムが別々となり、筑波工場内へ一斉に非常放送を行うことができなかった。BCP対策として複雑なシステムや信号線を整理し、非常放送を筑波工場全体に一斉放送で流せるようにしたい
- 古い放送設備をずっと使用していたが、アンプの容量自体がそもそも足りていなかった。BCP対応にともなって新たに建設される厚生研修棟「CROSS BASE」やその他の工事拡張によって設置するスピーカーを追加できるようにしたい
- 放送設備のラックが置いてあった第1工場の放送室に、生産現場で発生した油煙がダクトを通して入ってきて、機器やケーブルなどに油が付着しプラグの接触不良や劣化などにより、スピーカーから放送が聞こえないといった事象が過去に散見されていたことから、安定して稼働でき、保守やメンテナンスを行える場所に放送設備を設置したい。
- パワーアンプなどの一部の機器が廃盤に。保守部品の入手がスムーズにできるように、最新の放送設備に更新したい
お役立ちのポイント
- 2023年1月に完成した社員教育や従業員の福利厚生を担う「CROSS BASE」に新しい非常用放送設備のラックを設置。この「CROSS BASE」を起点に、筑波工場の全エリアに非常放送が行えるようにすることで、複雑になっていた信号線もシンプルに
- 旧放送設備の構成をベースに将来性を見越してアンプ容量を十分に確保した機器構成の非常用放送設備に刷新。
3ラックから5ラックへとラック数は増えたが、既存の第1、第2工場や「CROSS BASE」、将来建設予定となる第3工場への対応も可能に - 「CROSS BASE」 1階の放送庫内にラックを設け、前後に保守や点検が行えるスペースを十分に確保。工場油煙からも非常用放送設備を守り、アンプの劣化を防ぐことで故障率の低減にも貢献
- 気象庁からの震源データに基づいて地震発生時に緊急放送を自動的に行う機能や、半径30km以内に落雷が近づいた際に現場ラインに対して自動メールで警告を流したり、20km圏内に入った際に生産活動を停止するよう自動アナウンスを行う機能も連携。工場の安定稼働や従業員の安全をサポート
- 朝礼などの業務放送については「CROSS BASE 」1階の放送庫に訪れることなく、「CROSS BASE」 3階会議室から行うことができる
- 非常用放送設備の機器構成を最新にすることで、保守部品の調達もスムーズで継続的に保守が行える環境を再構築
納入商品
気象庁からの落雷予報のデータ(左)と、緊急地震速報装置(右)。
非常用放送設備と連携することで、落雷が近づいてきた際や地震の発生時に工場全エリアに自動的に緊急放送を行い、筑波工場のBCP対応をサポートしている。
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アナウンスクリエーターの操作画面。現状は肉声放送で対応しているが、将来的な運用も含めてアナウンスクリエーターも導入されている。自由に放送したい文章を入力してクラウド上でアナウンス用の音源を作成することが可能。さらにイントネーションなどの調整機能でより肉声放送に近い音源を作成することもできる。
インタビュー記事
始業前にBGM放送などを曜日ごとに変えて流していますが、さらにカフェなどにもBGMを流したりすることで、従業員の働き甲斐の向上にもつながってくれたらと考えています。」
- -今回の非常放送の更新にあたって苦労されたことを教えてください。
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根小屋 氏
毎日の朝礼やチャイムを一定の時間に放送していたのですが、更新作業を行なっている間に本当に何も放送できなくなった時期がありました。原因は油煙による影響でチャイムが鳴らなくなってしまっていたのですが、工場の従業員はチャイムを聞いて生産活動や業務を行なっているので、その時は一日も早く更新しないといけないと感じました。
また、今回の非常用放送設備の更新にあたっては以前に担当していた部署から我々情報企画課に移管されました。事前情報や知識・経験がない中で前任の部署へのヒアリングや資料など読み解きながら業務に当たりました。現場の各ラインから放送が聞こえないといった声があがっていたのですが、そもそもスピーカーがついていなかったり、アンプのW数が小さかったり、図面がないのでどの型番の機器を入れているかわからないこともあったりなど、1つ1つ確認しながら進めていました。 - -導入後の効果はいかがですか?
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芝山 氏
災害時に筑波工場の全従業員に対して、一斉に非常放送が行える環境を整備できました。また、気象庁からの震源データに基づいた地震発生時の緊急放送が自動的に行える機能や、落雷情報により現場ラインの生産活動を停止するアナウンスを自動的に行う機能も活用しています。
「CROSS BASE」 1階の放送庫に訪れることなく従来通り業務放送が行えるように、「CROSS BASE」 3階会議室、保安室に非常用放送設備のリモコンを設置しています。肉声による朝礼放送のほか、タイマーで始業前のBGM放送などを曜日ごとに変えて実施しています。
また今回の更新で放送エリアの区分け対応を行い、必要な放送や音源を必要な場所に放送するために、細かく設定できるようになりました。
従業員への安全を配慮した放送が行えるほか、BCP対策としてもより効果的な運用が可能になったと考えています。TOA
曜日ごとにBGMの音楽を変えているということですが、社内の反響はいかがでしょうか。
根小屋 氏
毎日の気分のリフレッシュのため音楽を曜日ごとに変えているのですが、とても評判がいいです。
TOA
今回納入させていただいた非常用放送設備の中には、アナウンス音源をテキスト入力でデータ変換したものをスケジュール化して自動放送したり、4カ国語対応も可能なアナウンスクリエーターもありますので、今後活用を検討していただけたらと思います。
- -今後の展望をお聞かせください。
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根小屋 氏
筑波工場の西側の敷地に新しい部品センターを2024年3月に竣工予定です。筑波工場の朝のBGM放送や朝礼の模様を新しい部品センターにも放送したいという要望がありました。県道を挟んでの建屋となるので、ネットワークを介して放送を届けられるネットワークオーディオアダプターを「CROSS BASE」と新しい部品センターに設置することで実現したいと考えています。
多くの人に一斉に情報を届ける放送は災害時や緊急時に一番効果を発揮してもらいたいので、まずはこれを整備できました。その次は、従業員のモチベーションやコミュニケーションが活性化できるように、働き甲斐が上がるようにしていきたいですね。
未来テラスカフェとかにジャズのような音楽を流すのもいいと思います。
- 株式会社クボタ 筑波工場の概要
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クボタ筑波工場は、1975年(昭和50年)に創業を開始したクボタの基幹工場で、おもに中型クラスのトラクタ、産業用エンジンを生産している。敷地面積約38万9,000㎡の中に、第1工場、第2工場、東日本部品センターなどがあり、従業員約3,600人が世界トップクラスの生産能力を支えている。
筑波工場では海外で需要が高い製品群を生産しており、生産するプロダクトの海外売上比率は80%に上る。安全・環境・品質の活動としては環境マネージメントシステムの国際規格であるISO14001 、品質保証の国際規格であるISO9001 、労働安全衛生に関する規格のISO45001を取得。世界のkubotaブランドの実現を目指して、世界中のお客様がクボタ製品の品質に満足いただけるよう日々邁進している。- DATA
株式会社クボタ
https://www.kubota.co.jp/ - 株式会社クボタ 筑波工場
https://www.kubota.co.jp/corporate/network/tsukuba-plant/
- DATA