福島競馬場 様

「福島競馬場」のイメージ画像

迫力ある競馬レースの開催や、多彩なイベントをサポートする信頼性・安定性が高く、明瞭性に優れた放送設備

概要

中央競馬としては東北地区でただ一つの競馬場である、福島競馬場。春・夏・秋と年に3回競馬が開催されており、季節の風物詩として地元の方々に親しまれています。競馬場内には広々とした芝生の広場や遊具があり、ファミリーの憩いの場としても大人気。近年は幅広い層に向けた競馬の魅力発信を目指して、初心者向けのイベントも開催されています。
TOAでは、福島競馬場の放送設備一新をサポート。お客様へ確実に情報を伝えるために、各エリアでの明瞭な音環境を実現するとともに、万全なトラブル対策と、現場オペレーターの要望に基づく操作環境の構築により、信頼性・安定性の高い放送設備を実現しています。

納入情報

納入先 福島競馬場 様
納入品 放送制御卓
デジタルミキサー D-2000シリーズ
コンパクトアレイスピーカー HX-7シリーズ
非常用放送設備
納入時期 2016年3月
採用背景 今回の改修は、1995年から使用してきた放送設備全体の老朽化にともなうものです。システムに万が一のトラブルが起こったときにも放送が行える冗長化や、現場オペレーターの要望を反映した操作性の高い放送制御卓、必要なエリアにのみ明瞭な音を届ける音環境の構築などが評価され、採用にいたりました。

課題と解決のポイント

課題

  • 競馬観戦に関する重要な情報伝達手段である放送設備が、機器の故障や不具合等によって停止することがないようにしたい
  • 観戦するお客様に実況放送を届けながら、音に敏感な競走馬への影響は最小限にできる音環境を構築したい
  • 放送エリアや放送内容の設定などにおける人為的ミスを少なくし、安定した操作・運用ができるようにしたい
  • 多彩なイベントができる場所を増やしたい。イベントの準備や撤収の手間を減らしたい

解決のポイント

  • 万が一のトラブルの際にも作業が円滑にできるよう、機器の入替やケーブルの差替、故障箇所の検知やシステムの冗長化などの対応を細部にいたるまで設備に反映
  • 指向性の高いコンパクトアレイスピーカーを設置場所や角度に配慮して配置。必要なエリアへのみ明瞭性の高い音を届ける環境を実現
  • 管理用PCから放送内容や音量の設定・調整などのオペレートが可能。視覚的な確認とマウスによる操作で、競馬やイベントの開催をサポート
  • イベント用音響設備を追加することで場内のイベント実施場所を拡大。可搬型のPAワゴンでイベントの準備・撤収を省力化

詳細

背景

約20年間使用してきた放送設備が全体的に老朽化。いたるところで不具合が発生。

1995年頃から約20年間の使用を経て、かなり老朽化が進んでいた福島競馬場の放送設備。いたるところに不具合が出ており、アナログの放送制御システムにも問題があったため、設備の更新が検討されることになりました。
新しく導入する放送設備に求められたのは、必要なエリアにのみ明瞭な音を届けることができるスピーカーや、万が一のトラブルへの万全な対策、操作しやすく人為的ミスを防ぐ管理用PCの導入などでした。さらに、幅広い層に競馬場を訪れてもらうためのイベントに対応しやすい放送設備も検討されました。

課題

競馬観戦に関わる重要な情報伝達手段である放送設備。信頼性の高い設備と分かりやすい操作環境で、迫力ある音環境に。

実況放送や裁決放送などお客様の勝馬投票券に関する重要な情報を確実に伝えるために、機器の不具合などによって放送できない環境に陥らないように、システムの冗長化が必要とされていました。操作面では、アナログのシステムだったために、放送エリアや放送内容の設定などにおける人為的ミスが起こりやすく、エリアごとの音量調整も苦労されていました。音響面では、スピーカーの老朽化によって聞き取りにくいエリアがあったようで、コース近くで観戦するお客様にレースの迫力を伝える実況放送がよく届く一方、音に敏感な競走馬への影響は最小限にできる音環境を検討されていました。
また、競馬に馴染みがない方にも気軽に競馬場に訪れていただけるように多彩なイベントを企画されていましたが、放送設備の性能によってイベントの開催に制限があり、準備・撤収にも苦労されていました。

解決策

現場オペレーターとのミーティングを重ね、万が一のトラブルに備えた冗長化システムを構築。管理用PCと指向性や遠達性に優れたコンパクトアレイスピーカーの採用により、運用面・音響面でも信頼を獲得。

操作環境のリニューアルにあたっては定期的なミーティングを行い、現場オペレーターの要望を拾い上げる機会を数多く持ちました。万が一のトラブルには何重にも対策を施し、設備の信頼性を向上。復旧作業も行いやすいよう、機器の入替やケーブルの差替、故障箇所の検知、配線本数やコネクターの形状、機器の設置場所などにも配慮しています。
アナログだった操作システムは全面デジタルに。管理用PCによってレースごとにファンファーレの種類などを設定できるため、人為的ミスが起こりにくくなっています。また、競馬場内の図面を表示させることによって、エリアごとの音量調整を直感的に行えるようになりました。
音環境については、指向性の高いコンパクトアレイスピーカーを採用。設置場所や角度に配慮することで、必要なエリアにのみ明瞭な音が届く環境を実現しました。また、ラインアレイ効果を活かし、コースを走る競走馬への音漏れは最小限にとどめられています。
また、イベント用音響設備を追加することで、屋内外でのイベントの実施場所を拡大しました。可搬型のPAワゴンを採用することでイベントの自由度が上がり、準備・撤収の手間を省いています。

  • メインスタンドの大屋根11カ所に設置されたのは、防滴型のコンパクトアレイスピーカーHX-7B-WP(2台連結)、サブウーハーSR-C15B(1台)の組み合わせ。コースの近くで観戦するお客様にも実況放送がよく届く一方、ラインアレイ効果を活かし、音に敏感な競走馬への音漏れを最小限に留めるような環境が構築できている。
  • ウイナーズサークルでは、勝利ジョッキーへのインタビューや多彩なイベントが開催できるように、可搬型のPAワゴンが用意されている。屋外用のコンパクトアレイスピーカーHX-5B-WP(2台)から、お客様へ明瞭な音を届ける。
  • パドックのメインスピーカーとして、指向性の高いコンパクトアレイスピーカーHX-7B-WPが左右2台ずつ設置されている。競馬開催時や各種イベント時もそのパフォーマンスを発揮。
  • 屋内のイベントが開催されるスタンド3階にあるピーチプラザのメインスピーカーには、屋内用のコンパクトアレイスピーカーHX-7Bを配置。可搬型のPAワゴンから放送でき、イベントの準備・撤収も省力化された。
  • 実況放送室にある非常放送架(左)、音響架(中央、右)。右の音響架には競馬開催時とパークウインズ時(場外発売時)とで放送システムの切り分けを行っているアドレスセレクターが収められている。また、放送制御卓の操作パネルにトラブルが発生した際、音響架にある緊急用ボタンを押すことで、非常放送の系統から放送することができ、放送ができないという最悪の状態を回避できる万全の配慮がなされている。
  • 放送機械室にある音声分配架、電力増幅架。デジタルミキシングプロセッサーユニットD-2008SPの他に、デジタルパワーアンプDA-550F、デジタルスピーカープロセッサーDP-SP3などが収められている。
  • デジタルミキシングプロセッサーユニットD-2008SP。
  • デジタルパワーアンプDA-550F。
  • デジタルスピーカープロセッサーDP-SP3。
  • 予備アンプへの切替パッチパネル。不具合や故障が起こった際に、手動でアンプを切り替える。

インタビュー記事

「屋外スピーカーの音質も改善し、多彩なイベントも実施できるようになりました。競馬場でしか味わえない迫力をぜひ体感しにいらしてください。」

日本中央競馬会 福島競馬場 施設整備課

森本 将平 様

「管理用PCの導入で操作性も格段に向上。故障や不具合にも万全な対策が施された、信頼性の高い設備になっています。」

JRAファシリティーズ株式会社 福島事業所

佐藤 健一 様

-音響システムをリニューアルされた感想はいかがですか?

森本 氏

冗長化はもちろんのこと、トラブルが起こっても復旧作業を迅速かつ的確に行えるように細かいところまで配慮してもらったので、放送設備の信頼性が格段に増したと思います。
また、制御システムがアナログから全面デジタルに切り替わり、管理用PCを導入したことによって、マウスひとつで操作できるようになりました。競馬場内のお客様の滞留状況は日々刻々と変化するので、画面を見ながら簡単に放送したいエリアの音量調整を行えるのは大変便利です。
ただ、いくら機器が新しくなっても人間が操作する以上、ミスを完全に防ぐことはできません。たとえばレースごとに再生するファンファーレは異なるのですが、手動だと間違ったものを流してしまう可能性もあります。そこで、管理用PCにはレースの番号と種類をあらかじめ登録することができ、正しいファンファーレ以外は再生できないような機能を付加してもらいました。何パターンもの設定を記憶できるソフトウェアで、よく作り込まれているなと感心しています。人為的ミスを事前に防止することで、より安定性の高い運用が可能になりました。

-現場で使ってみて、手応えはいかがですか?

佐藤 氏

放送制御卓は全国のJRAで仕様が統一されているのですが、固定されていたモニター画面の位置を調整できるようになったところなど、現場で使いやすいように工夫されています。異常が発生した際の対応についても、一部を福島競馬場用にカスタマイズしました。
管理用PCも非常に便利です。ウイナーズサークルやパドック、スタンドの各所でイベントが開催されるのですが、その際に「音を切ってほしい」、「音量を小さくしてほしい」といった依頼を受けることがあります。従来では迅速に対応するための直感的な操作が難しかったため、管理用PCの導入に際して表示画面に競馬場内の図面を反映してもらいました。どのボタンやフェーダーを触ればいいのか図面を見ながら判断できるので、とても使いやすいです。
音質については、多くの競馬関係者から「良くなった」という感想を聞いています。とくに大屋根のスピーカーが聞き取りやすくなっています。
また、今回の更新では故障やトラブルが起きたときのために二重、場合によっては四重もの対策が施されています。今のところ故障やトラブルは起こっていませんが、仮に起こったとしても対応できるという手応えがあります。設備に対する信頼があるので、現場での安心感が以前とはまったく違いますね。

-今後の展望をお聞かせください。

森本 氏

年齢・性別を問わずに楽しめるレジャーとしての競馬を目指して、より多くの方にご来場いただけるように工夫しています。ご家族に向けた乗馬体験イベントの定期開催や、最近では女性専用スペース「UMAJO SPOT」を設置しています。競馬にあまり馴染みのない方へのきっかけ作りとして、競馬開催期間中には競馬好きのタレントさんを招いてのレース予想トークショーを行うなど、さまざまなイベントも実施しています。
今回のリニューアルでは、こうしたイベントがさらに開催しやすくなるようにイベント用の音響設備を一式追加し、場内のイベント実施場所を増やしました。多彩なイベントに対応できるように、それぞれの音響設備も以前よりグレードアップしています。今後はこれらの設備を積極的に活用し、さらに福島競馬場を盛り上げていきたいですね。
最近は電話やインターネット投票で気軽に勝馬投票券を購入していただけるようになり、ありがたいことに多くのお客様にご好評を得ております。しかし、実際にレースをしている競馬場でしか味わえない魅力がありますので、ぜひ一度足を運んでいただきたいと考えています。

福島競馬場の概要

福島市の市街地に位置する、中央競馬では東北地区唯一の競馬場。毎年4、7、11月に20日間に渡ってレースが開催されており、なかでも夏の競馬では東日本地区の主場となっている。コースのつくりこそ他の競馬場よりもコンパクトだが、最終コーナーからゴールにかけて競走馬と騎手たちが激しい攻防を繰り広げる。「大穴」が出やすい競馬場としてもよく知られ、夢とロマンを求めるファンに人気が高い。

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