ネットワークを活用した校内放送システムや防犯カメラシステムで、小中施設型一貫校の音環境、安全安心をサポート
つくばエクスプレスの開通により働く世代から「住みよい街」の上位に挙げられるつくば市では、ファミリー層の転入により学校の新設が相次いでいます。その中で、2023年4月に研究学園駅近くに開校したのが、研究学園小学校・中学校です。
TOAでは、研究学園小学校・中学校の校内放送システム、非常用放送システム、防犯カメラシステムを担当しました。タブレットを用いて簡単な操作で校内放送を行なうことができ、各教室では映像を用いた授業や英語などのヒアリング等に効果を発揮する教室内拡声システム、校舎内の死角などを映像で確認する防犯カメラシステムを納入。児童・生徒が安全・安心・快適に学業に打ち込める環境をサポートしています。
納入品
ネットワークPAシステム
教室内拡声システム
非常用放送設備
ラインアレイスピーカー
屋外フルHDネットワークカメラ
納入時期
2023年3月
背景
2018年4月に開校した学園の森義務教育学校の児童・生徒数が2027年には3,000人を超え、教室数の不足も見込まれることに。早期の対策が必要となり、2023年4月に分離新設校として研究学園小学校・中学校が誕生することとなった。
教室に設置されている教室内拡声システム。赤外線マイクの音や映像授業等の音声、PCなどの再生音を拡声することができる。英語の発音で聴きとりにくい子音の発音などもしっかり聴こえるようになり、集中力アップや学習効果向上も期待できる。
教室内拡声システムの赤外線マイク。首掛け型で両手を自由に使いながら授業を行うことができる。
教室内拡声システムの赤外線チューナー。赤外線スピーカーとの接続はLANケーブル1本のみ。
小学校に設置されている非常・業務用ラック型放送設備FS-2500シリーズと防犯カメラシステムのITV架。火災等の非常時には、小学校・中学校の両方に放送することができる。モニターでは、学校全体を死角なく確認することができる。
中学校には小学校に設置されている非常・業務用放送設備の非常用リモコンと、防犯カメラ映像を確認するモニター2台が設置されている。小学校と同様に小学校・中学校の両方に放送することができ、防犯カメラの映像も確認できるようになっている。
中学校の放送室にあるネットワークPAシステム。中学校では給食と掃除の時間に、生徒がタブレットを操作して音楽を流している。マイク放送はタブレットの左にあるネットワークPAリモートマイクで行う。小学校の放送室にも同様の設備が設置されている。
中学校校舎棟3階にある音楽室。教室前方にはメインスピーカーとしてコンパクトスピーカーF-2000Bが2台、サブスピーカーとして教室中央に広指向性天井埋込型スピーカーが4台設置され、デジタルステレオミキサーの自動音場補正機能や自動ハウリング抑制機能などにより、明瞭性が高く、快適な音空間を構築している。
音楽室にあるワゴンアンプ。CD/メモリープレーヤーやデジタルステレオミキサーなどが収められている。上にあるのは、ハンド型とタイピン型のデジタルワイヤレスマイクロホン。
一般的な体育館より天井の高い中学校の体育館。反響の大きい環境下でも明瞭性が高く臨場感のある音空間を実現。前方にはメインスピーカーとして指向性が高いラインアレイスピーカーSR-T5を2台設置。
体育館後方には2台のサブスピーカーを設置。デジタルスピーカープロセッサーのデジタル信号処理で音量の補正と均一な音空間を構築している。
中学校体育館のステージ横に設置されたアンプ架。デジタルミキサー、デジタルスピーカープロセッサー、デジタルパワーアンプなどが収納されている。
小学校校舎に設置された屋外フルHDネットワークカメラN-C5420-3(左)と、中学校校舎に設置された屋外ドーム赤外フルHDネットワークカメラN-C5850R3(右)。人の出入りなど、広い敷地全体を死角なく確認できる。
研究学園小学校 教頭
印南 千明 様
研究学園中学校 ICT担当 教諭
橋場 勇人 様
印南 氏
研究学園小学校の中央部に大きな中庭がレイアウトされていて、中庭の周りを教室が取り囲む回廊式の校舎になっています。そのため、近くを走るつくばエクスプレスの音の影響も少なく、北側にある教室も非常に明るいといった特長があります。
我々教職員にとっても子どもたちの様子が一目瞭然でつかみやすいといったメリットもあります。
印南 氏
開校してから今まで目立ったトラブルもなく教職員も使用できていますので、非常に使いやすい放送設備だととらえています。小学校では、給食の時間や掃除の時間に放送を流していますが、放送委員会の開設が遅くなってしまったこともあり、現時点で児童がタブレットを操作して校内放送を行うところまでには至っていません。今後慣れてくれば児童の操作で放送を流す予定にしています。
橋場 氏
最新の設備が導入されているので、操作もシンプルで非常に使いやすいですね。導入当初に生徒に一度教えただけで、ものの数分後には自分たちだけで操作ができるようになっていました。タブレットのアプリケーションなので、生徒にとっても身近で操作しやすい環境なんだと思います。
印南 氏
非常放送を使っての避難訓練は行っていませんが、一般の放送を使いながらの避難訓練は頻繁に行っています。その時には、小中のどちらか片方で放送すればいいので、小学校の方から小中の全館に放送するような形とか、またその逆の形で実施していますが、そのときも混乱はなかったです。
橋場 氏
基本的にはマイクを使って訓練しています。自動音声でというのは前の学校でもなかったです。今回はそれが組み込まれているので、この先はあるのかもしれないですね。
TOA
納入させていただいております非常用放送設備には訓練放送も内蔵されているのでこちらも活用いただければと思います。
印南 氏
普通教室の授業だと地声で行なうケースの方が圧倒的に多いのですが、開校直後の風邪が流行った時期に喉の調子が悪い先生がマイクを使って授業をしたところ、非常によく聞こえて授業がしやすかったといったこともありました。ただ、本格的な活用はこれからですね。
橋場 氏
英語や音楽の授業のときに、CDなどから流したり、映像を使った授業に関しては活用するチャンスは結構多いのかなと思うのですが、なかなか活用できていないですね。英語などのリスニングテストだと拡声器で拡声すると手前の音が大きくて、後ろが聞こえにくいということがあるので、教室内拡声システムは有効だと思います。
TOA
英語の発音で「th」など子音の音などは聞き取りづらいですが、そうした音をしっかり届けることで学習効果が上がるという研究結果もあるようです。
印南 氏
英語教育で使用するといった視点はなかったので、ぜひ職員に伝えて前向きに活用したいと思います。
印南 氏
体育館は開校以来、入学式とか開校式などで使用していますが、すぐに感覚的に操作できましたし、放送ブースの中に閉じこもって操作する形ではなく、機材を外の方に出しながら使えるということが非常にいいと思います。
橋場 氏
本校の体育館は3階建てで天井が非常に高いのですが、体育館にありがちな音がこもって聞こえづらかったりすることもなく、式典や体育の授業のときでも非常に明瞭に聞こえます。
印南 氏
来客などの確認や死角のチェックなどに使用しています。ちょうど私の席の右斜め前にモニターがあり、画面が動いたり、夜間ライトが点灯したりすると結構目に入って来客も分かるのでそれで確認したりしています。
橋場 氏
週末に部活の指導に来た時、正門や通用門が開いているかなど、学校のさまざまな場所を映して確認することができるので、非常に便利ですね。
橋場 氏
開校当初は慌ただしかったですが、随分落ち着いてきたので、教室内拡声システムなどの本格活用も検討していきたいと考えています。デジタル教科書や映像を活用した授業なども今後増えてくることが予想されるので、映像と音響を交えて、わかりやすい授業につなげていきたいですね。
印南 氏
小学校・中学校が隣接するメリットを生かして、運動会などの行事を一緒に実施するといったことも検討中です。今回導入された校内放送設備、非常用放送設備を有効に活用していきたいですね。教室内拡声システムも英語の授業だけでなく、他教科での活用についても前向きに検討していきたいと思います。
つくば市立研究学園小学校・中学校は2023年4月に、学園の森義務教育学校から分離新設された施設隣接型の小中一貫校。「みんなの幸せを大切にし、自ら考え行動できる児童生徒の育成」を学園教育目標に掲げ、学校運営が行われてる。
小学校、中学校とも校舎は鉄筋コンクリート造3階建てで、それぞれ3階建ての体育館を併設。グラウンドは共用で使用されている。「地域と共に学び育つ学校」をコンセプトに、児童・生徒数の増減に合わせて教室数を調整できたり、空き教室が生じた場合には別施設に転用しやすい配置や普通教室に転用しやすい教室設計とするなどの工夫が施されている。