利休の聞いた音

茶室という小さな宇宙は、母親の胎内のような心やすらぐ空間になっている。ここでは、視覚より聴覚が優先して、ドラマが進行していく。

躙口を閉める音。畳を羽根箒ではく音。釜の煮えたぎる音。柄杓をおく音。茶をすする音。外から聞こえてくる季節のざわめき。利休は類稀な音の演出家だ。