十七文字の音
元禄二年の夏。『奥の細道』の旅で裏蔵王の山里に立ち寄った芭蕉は、「山寺や石にしみつく蝉の声」という句を詠んだ。この句から数度の推敲を経て、名句「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」が生まれる。「しむ」とは心が感じいるという意味。稀世の俳人でさえ、「音」の感動を文字にするには、ずいぶん迷ったようだ。
元禄二年の夏。『奥の細道』の旅で裏蔵王の山里に立ち寄った芭蕉は、「山寺や石にしみつく蝉の声」という句を詠んだ。この句から数度の推敲を経て、名句「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」が生まれる。「しむ」とは心が感じいるという意味。稀世の俳人でさえ、「音」の感動を文字にするには、ずいぶん迷ったようだ。