十七文字の音
元禄二年の夏。『奥の細道』の旅で裏蔵王の山里に立ち寄った芭蕉は、「山寺や石にしみつく蝉の声」という句を詠んだ。
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元禄二年の夏。『奥の細道』の旅で裏蔵王の山里に立ち寄った芭蕉は、「山寺や石にしみつく蝉の声」という句を詠んだ。
子どもの頃、波の音が聞こえると言われて、貝殻を耳にあてた経験はないだろうか。
五月雨は、パラパラ。六月の梅雨はシトシト。そして夕立は、一転空を曇らせ急にザーザーと勢いよく降る。
春は小川のせせらぎ、夏は蝉の鳴き声や波の音、秋になると虫のコーラスや木々のざわめき。ある一定のリズムをもって常に移り変わってゆく自然の創り出す音には、都市生活では味わうことのできない、心をなごませてくれる波動が含まれている。ときには自然の中で耳を澄ませてみるのも一興だ
ザトウクジラは、冬は北の海で過ごし、夏になると雌だけが先に南下する。だが決してはぐれることはない。海には空気中の5倍の早さで、しかも千キロの彼方まで音を伝えるサウンドチャンネルという層がある。雄はこれにのせて歌うような「音」を発する。愛すればこそ相手を聞きわけ、めぐり逢うことができる。
立春から数えて二百十日。九月は台風の季節である。江戸初期の画人、俵屋宗達は、雷を八個の太鼓を叩く鬼の姿をした雷神として、「雷神図屏風」に描いた。