ささやきの壁
パリのメトロで電車を待っていると、周りに誰もいないのに話し声がする。向かいのホームにいた数人の声のようだが、ずいぶん近くに聞こえてくる。ささやきの壁で有名なロンドンのセントポール寺院のように、音が響きあう地下空間。無機質なのに、何故か人の温もりが感じられる。
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パリのメトロで電車を待っていると、周りに誰もいないのに話し声がする。向かいのホームにいた数人の声のようだが、ずいぶん近くに聞こえてくる。ささやきの壁で有名なロンドンのセントポール寺院のように、音が響きあう地下空間。無機質なのに、何故か人の温もりが感じられる。
学校やオフィス、街のどこかで、時を告げるチャイムや時報が聞こえてくる。それは時刻を知らせる音としてだけでなく、人々が共有する、時の始まりと終りを告げる節目の音でもある。
様々な音が氾濫している街中で、いつもは他の音に消されて聞こえない音が、ふと耳に入る時、静かだなと感じた経験はないだろうか。静けさとは、全く音の無い世界ではなく、穏やかな「心」の音環境ではないだろうか。
ザトウクジラは、冬は北の海で過ごし、夏になると雌だけが先に南下する。だが決してはぐれることはない。海には空気中の5倍の早さで、しかも千キロの彼方まで音を伝えるサウンドチャンネルという層がある。雄はこれにのせて歌うような「音」を発する。愛すればこそ相手を聞きわけ、めぐり逢うことができる。
祇園の石畳に、舞妓さんのぽっくりが響く。 ぽっくりは少女の盛装のげた。江戸時代に吉原遊郭の"かむろ"が用いたのが始まりといわれる。
インドネシアのバリ島で、祭式や舞踏の伴奏などに奏でられるガムラン音楽。竹や金属の打楽器が、荘厳にして不思議なうねりを生む。その時、人間には聞こえない高さの空気振動音が、快適さを感じさせているという。この聞こえない「音」があふれる島では、呼吸のリズムさえ軽やかになり、人々は陽気に暮らす。