音を食す
その昔、王候貴族の食事や宴会でよく演奏されていた、バロック音楽の音は、静かにやさしく響き、会話のざわめきのように漂ってくる。
に関するコンテンツ一覧
その昔、王候貴族の食事や宴会でよく演奏されていた、バロック音楽の音は、静かにやさしく響き、会話のざわめきのように漂ってくる。
最近の映画は、特撮のすばらしさはもちろん、音もよりリアルになっている。その臨場感あふれる音の一つひとつが、映画館という空間をさらに立体的な音場に変え、まさにその映像の中にいるような感覚が体験できる。映画を観る楽しさから、体感する楽しさへと、音が新たな感動を産み出している。
春は小川のせせらぎ、夏は蝉の鳴き声や波の音、秋になると虫のコーラスや木々のざわめき。ある一定のリズムをもって常に移り変わってゆく自然の創り出す音には、都市生活では味わうことのできない、心をなごませてくれる波動が含まれている。ときには自然の中で耳を澄ませてみるのも一興だ
中世の面影をとどめている街は、どこか音に敏感な感性をもたらしてくれる。南仏のディーニュという街には、昔から人々と生きてきた鐘がある。時折そっけなく鳴り出すその音色は、まるで街中に波紋が広がるように天上の音楽の響きがする。これが中世の音風景に違いない。
茶室という小さな宇宙は、母親の胎内のような心やすらぐ空間になっている。ここでは、視覚より聴覚が優先して、ドラマが進行していく。
街の中で出会う音は、騒音と化し無表情になっている。音が楽しめる美術館があったらどんなにいいだろう。自由に音を出してみたり、いろいろな音を聞けたり。