熊本県大津町 様
住民がパソコンやスマートフォンでリアルタイムに河川の水位が確認できるように、監視カメラのライブ映像を町のホームページで公開。
防災用スリムスピーカーの採用により、防災行政無線の聞こえにくさを解消。
概要
大津町は熊本県の中北部にある町で、江戸時代には参勤交代の宿場町として栄えていました。東部地域は阿蘇外輪山にあたり、一級河川の白川が流れるなど、四季折々の自然が豊かです。農業や工業、商業などがバランス良く発展しており、スポーツイベントなども盛んに行われています。
大津町では以前より河川監視用にTOAのネットワークカメラ(TRIFORAシリーズ)を設置して、役場内で増水状況をリアルタイムで確認されていました。今回、大津町ホームページ(※以下HP)のリニューアルに合わせて、そのカメラのライブ画像をHPで公開し、住民がパソコンやスマートフォンで確認できるようにしたいということで、TRIFORAカメラのライブ画像をクラウドサーバーへ配信しWeb上で確認ができるTRIFORA Webサービスを採用いただきました。
納入情報
納入品 |
TRIFORA Webサービス(*) 防災用スリムスピーカー Q-HA-1000MK2 |
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納入時期 |
TRIFORA Webサービス:2024年6月 防災用スリムスピーカー:2024年3月 |
(*)TRIFORA Webサービスとは?
TOAのネットワークカメラ(TRIFORAシリーズ)をお使いの方に、カメラのライブ画像を公開できるWebページのご提供やお客様のHPへのカメラのライブ画像の埋込を簡単に構築できるサービスです。
https://www.toa.co.jp/products/sensing/web-service/
要望・お役立ちのポイント
要望
- 河川監視用途で設置しているネットワークカメラの映像を住民にも公開して、大雨が発生したときなどに川まで確認しに行かなくても、パソコンやスマートフォンで河川の状況を確認できるようにしたい
- 住民からの「防災行政無線の音が聞こえない、聞こえづらい」という要望に対し、対策・改善をしたい
お役立ちのポイント
- 以前より河川監視カメラとして設置されていたTRIFORAカメラの画像をクラウドサーバーへ配信しWeb上で確認できる「TRIFORA Webサービス」をご提案。大津町のHP上にカメラ画像を公開することで、住民がいつでも河川の状況をリアルタイムで確認できるようになった
- 河川監視カメラのライブ画像を公開しているWebページでは、あらかじめネットワークレコーダーに記録されている平常時の水位画像も横並びで表示。河川の増水状況を比較しやすいようにWebページのデザインを工夫
- 音達距離が長く、クリアな音質で広範囲に届く防災用スリムスピーカーを防災行政無線の聞こえづらい場所、災害が起こりやすい場所に優先的に配置することで、聞こえづらさを解消
インタビュー記事
- 「河川監視カメラのライブ映像を大津町HPで公開したことで、住民が遠隔で河川の水位をリアルタイムで確認できるようになりました。防災行政無線の聞こえづらさも、防災用スリムスピーカーで解消できました。」
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大津町役場 総務部 防災交通課 防災消防係 係長(消防主任)
安武 祐成 様
- -河川監視カメラの導入経緯を教えてください。
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安武 氏
大津町には主に5本の河川が流れていますが、それらの中には、雨が降った時だけに水流が発生し、少しの雨でもすぐに増水してしまう河川もあります。平成24年の熊本広域大水害で川が越水したこともあり、約10年前に最初の河川監視カメラを導入しました。当時はリアルタイムの映像確認ではなく5分ごとに静止画が更新されるというものでした。
平成28年の熊本地震で大津町役場の庁舎が被災し、新庁舎に建て替えることになりました。その際、防災に強い町づくりを進めたいと、さまざまなシステムの導入が検討されました。リアルタイムで河川の状況をカメラで確認したいということで、元々あったカメラを一新。5台のカメラを大津町役場本庁舎と光回線で接続することで、リアルタイムで河川の状況が動画で確認できるようになりました。 - -河川監視カメラのライブ映像を大津町HPで公開したいきさつを教えてください。
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安武 氏
今回、大津町のHPのリニューアルにともない、役場内で確認していた河川監視カメラのライブ映像を、住民一人ひとりに防災意識を持ってもらうためにHPで公開することにしました。豪雨時の避難指示などの判断は大津町役場の方で行うのですが、住民によっては河川の状況が気になって現地に確認しに行くという危険があります。その危険をなくすためにも、自宅にいながらスマホなどで確認していただけるよう映像を公開しました。
今回、増水の危険性が高い河川2カ所にカメラを増設し、合計7台のカメラで大津町が管理する河川の状況をリアルタイムに確認できるようになりました。大津町を流れる一級河川 白川については国土交通省や熊本県のカメラが3台あるのですが、そちらもHPから見れるようにしています。
地域防災を担う区長の方からも「公開してよかった」という声をいただいていますし、平常時と現在の河川監視カメラの画像を見比べられるようなWebページのデザインにしたことで、「わかりやすい」といった評価をいただいています。 - -住民から聞こえづらいとの声があった防災行政無線はどのように改善されましたか?
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安武 氏
災害時には防災行政無線を使って一斉放送を行なっていますが、「音が聞こえない、聞こえづらい」という声が上がっていました。大津町の全区長に調査を依頼したところ、いくつかの場所で聞こえづらいことが判明し、改善が必要となりました。
防災行政無線の一斉更新は財政的に負担が大きいため、一部更新を検討していました。その際、クリアな音質と優れた音達性能を持つTOAの防災用スリムスピーカーの存在を知りました。試験導入したところ手応えを感じられたため、聞こえづらい場所や災害の起きやすい地域に絞って改善することにしました。
今回取り組んだのは、アンプ容量に空きのある防災行政無線の活用です。800mほどの横に長い集落で、アンプから400〜500mの線を延ばして新規で建てた柱に防災用スリムスピーカーを設置しました。防災用スリムスピーカーが400mずつ音を届けることで、高額な防災行政無線の子局を新設することなく集落全体をカバーできました。TOAの防災用スリムスピーカーは音がクリアで、同じ方向に飛ばしてもワンワンと鳴りづらく非常に効果的です。この改善により、「音が聞こえない、聞こえづらい」という住民の声は少なくなりました。今後もさまざまな改善を検討していきたいと考えています。 - -今後の課題や展望をお聞かせください。
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安武 氏
河川監視カメラ映像をHPで公開し大津町役場の職員だけでなく住民一人ひとりが河川の水位を確認できるようになったことで、防災意識についてもより高くなっていると思われます。また、防災用スリムスピーカーを整備したことで、聞こえづらい場所は確実に少なくなりました。
今後の課題に関しては、赤外線カメラでも夜間に水位が見えづらい場所もあるので、反射板などを活用して水位が見えるようにしたいです。また、豪雨時に防災行政無線などで避難指示を受けた時にどのように身を守るか、避難所に行けるか。自分で避難することが難しい方もおられるので、その方をどう避難させるかという支援の仕組み作りについて、役場だけではなく地元と一緒になってサポートできるような体制を作っていくことが大切です。
また大津町では外国人労働者も増えています。外国人の方が災害時に円滑に避難したり、避難時にサポートを受けられるような情報をどのように伝えていくかも検討していく必要がありますね。
納入商品
大津町HPより閲覧できるTRIFORA Webサービスの公開用ページ。左はパソコンで見た画面(下井手(六里木橋)、右はスマートフォンで見た画面(平川(古城))。平常時と現在のカメラ画像(ライブカメラ画像は5秒ごとに自動更新)を常に見比べられるようにデザインを工夫されている。
大津町HPより閲覧できるTRIFORA Webサービスの公開用ページ。上はパソコンで見た画面(下井手(六里木橋)、下はスマートフォンで見た画面(平川(古城))。平常時と現在のカメラ画像(ライブカメラ画像は5秒ごとに自動更新)を常に見比べられるようにデザインを工夫されている。
総務部防災交通課の執務室に設置されたモニターで、町内7カ所にある河川監視カメラの映像を常に確認できる。
また庁舎内ではそのほか、災害対策本部などでも同じ映像が確認できるようになっている。
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TRIFORAシステムのラック設備。ラック内にもモニターを設置して河川監視カメラの映像が確認できる。
- 熊本県大津町の概要
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熊本県大津町は、熊本市と阿蘇山の中間に位置し、人口約36,000人(2024年10月1日現在)の自然豊かな町です。阿蘇くまもと空港や九州自動車道熊本ICにも近く、交通の便にも恵まれています。
町内には大津日吉神社や昭和園などの観光スポットがあり、特に春はつつじ祭りが開催され、多くの観光客が訪れます。
農業が盛んで米や野菜、特にさつまいも(大津町では「からいも」と呼ばれる)の生産は熊本県トップです。また、複数の工業団地を有する大津町には本田技研工業株式会社熊本製作所があり、オートバイの生産拠点としても知られています。近年は企業進出や住宅整備により人口も増加しており、今後も増加が見込まれています。