TMWはそれぞれの専門性を組み合わせて生まれてきました。でも、出演者のお話を伺っていくうちに、その時、その地域の子ども達と出会うたびに新しいものが生まれ続けていたのではないかとも思いました。 最後に、「ANIMAL CONCERTO」を体験したことのない方にもその様子を想像していただけたらと思い、ダンサーのメリさんが書いた詩で締めくくりたいと思います。
いつもの体育館が暗闇になり
ヒソヒソ声がきこえる
囁くようなマリンバが空間を包んでいる
目が慣れてきた頃に太鼓の音が響き
跳躍する何かが見える
太鼓に合わせて手を叩いたり
友達の反応を見たりして
今日は特別な何かが起こる予感
いざなわれる
ここではない場所
象の鼻がのびるように手をのばす
重い音がする
大人ものびてゆく
心地よくて居心地がよいところは
どこなんだろう
鳴き声や何かの気配が近付いてくる
羽根を広げたら浮き立って
飛び回る
重力を忘れる速さ
妙な動き
胸をドラミング
その動きは何?
笑いながら顔を見合わせ
必死に追って
単純なやり取りに
いつの間にか夢中になる
ここではそれが自然なこと
躊躇うのを忘れるほど
距離が近く
音楽が絡みつく
別の生き物のふりをして触れると
何かが身体の中を通り過ぎていった
草原を駆け抜け
風になって砂を舞い上げ
星々に囲まれる
何もないところに風景が立ち上がる
身体に音楽が蓄積されて
ぼうっと発光する
踏み鳴らす飛ばす蹴り上げる叩く
打ち鳴らすのは身体
声をあげることだけが叫びではなく
誰かと合わすのは呼吸以上のもの
最初から最後まで
出会いから終わりまで
全ての瞬間が繋がって
渦に巻き込まれるように
流れてゆく
何かになろうとしているうちに
勝手に動いていた鼓動
ずっと忘れものをしているような
なにかを探しているような時に
ふと思い出したい記憶は
きっと身体の中にある
編集:NPO法人子どもとアーティストの出会い