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音の仮面「マスキング現象」

エアコンをつけている間は気にならなかったのに、エアコンを切った途端、時計の秒針の音や冷蔵庫のモーター音が気になって眠れなくなった……そんな経験はないでしょうか。このように、ある音が、別の音によって妨害されて聞き取りにくくなる現象をマスキングと呼びます。

一般的に高い音の方が低い音よりマスキングされやすいという特徴があります。エアコンの事例もそのひとつでしょう。また、時間的にあとから鳴った音が先に鳴った音をマスキングしてしまうという不思議な現象も起こったりします。周波数等によって聴覚神経内での伝達速度や処理過程に違いがあるために起こるといわれています。

高層ビルのエレベーターで、BGMが流れているのも、このマスキングという性質を利用したもの。高層ビルのエレベーターは速度が速く風切り音が非常に大きいので、それをBGMによって目立たなくしているのです。いわばBGMは風切り音の「顔」を見えなくしてしまう「仮面(マスク)」である、というわけです。

音のマスキング現象

圧縮技術に応用されるマスキング現象

このマスキングという現象はBGMだけではなく、マルチメディア化・ブロードバンド化が進む現代、きわめて重要な役割を果たしています。オーディオ用のMD、そしてDVDやデジタルテレビ放送用などでは、MPEGというデータ圧縮方式が採用されています。これは、聴覚のマスキングを利用した情報圧縮なのです。

圧縮技術に応用されるマスキング現象

たとえば、ある楽器の音が別の楽器の音によってマスキングされて聞き取ることができない場合があります。その音は聞き取れなくてもデータとしてはもちろん存在しているのですが、聞き取れないものはカットしてしまっても問題ないわけです。また、部分的なマスキングが生じて聞き取りにくくなっている箇所も、データの割当量を小さくすることができます。こうして全体のデータ量を大幅に圧縮することができるのです。MPEG方式で圧縮することによって、普通の人には音質の劣化を感じさせることなく、データ量は10分の1以下にできます。

意外にも、マスキングという現象は、私たちの身近で役に立ってくれているのですね。

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