反響と残響はどう違うの?
体育館やホールでスピーチを聴いている時、すっきりと聞こえず、話の内容がよく分からなかったという経験がありませんか? この音がすっきりと聞こえない原因は、反響が多く聞こえたり、残響時間が長いといったことが挙げられます。
反響と残響の違い
室内で音を出すと、壁や天井にぶつかって音が反射し、反射音が発生します。これが反響、あるいは残響の原因となります。どちらも室内で音が反射することにより発生する現象という意味では同じですが、音の聞こえ方の違いで使い分けられます。
反響
反射音と直接音※を区別して聞くことができ、音の繰り返しがカウントできる。いわゆるやまびこのこと。
残響
直接音との区別がつかず、繰り返しがカウントできない。 この残響の残る時間の長さを表したものを「残響時間」という。
※直接音 : 音源から耳に直接到達して聞こえる音のこと。
明瞭性の高い音響空間を作り出すには?
講堂や体育館などの広い空間で、話し手のお話を聞き手に正確に伝えるには、明瞭性の高い音づくりが効果的です。
この音づくりの妨げとなるのが反響と残響です。 残響については、残響を発生させている周波数を測定によって探し出し、減衰させる必要があります。これは、デジタルオーディオプロセッサーの「ARC機能」で改善できます。
参照 : 共鳴が起こるのはなぜ?
- ARC機能とは
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ARC機能(Automatic Resonance Control機能)とは、共鳴周波数を探し出し、抑制する機能のことです。自動音響空間測定・音響解析とデジタルフィルターの自動生成により、拡声空間の音場補正が自動的に短時間で行えます。
反響については、ラインアレイスピーカーなどの指向性の強いスピーカーを採用して、天井や床への余計な音の放射を減らし、反射音を抑えることで改善できます。
ラインアレイスピーカーとは、複数のスピーカーユニットを垂直方向に近接して並べることで連続した線状の音源が形成されたスピーカーのことです。通常のスピーカーと比べて音が垂直方向へは広がりにくいという特性があります。
そのため天井や床に広がる音が少なく、狙ったエリアにだけクリアな音を届けることができます。
よって、明瞭な放送が難しいとされる体育館や 教会でも明瞭性が確保しやすくなります。
反響を抑えるには
ラインアレイスピーカーを採用することで、天井や床への反射を抑えられます。
- ラインアレイスピーカー